おく農園日記

ババコウの収穫が始まりました!! 2022年12月

2022年12月26日

年間通じて少量ずつ収穫していたのですが、ここにきて大量に取れました。
夏の暑さにも耐え、見事なババコウがついています。
今回、格安販売いたしますので、どうぞお買い求めの上お召上げりください。

価格: 2個入り(合計2kg以内)1,800円

特徴:甘さはほんのりですが、さわやかな酸味ととてもジューシーな味です。薄い皮ごと召し上がることができます。
食後にさっぱりしたデザートになります。生ジュースにして蜂蜜など糖分を少し加えると一層おいしく召し上がれます。

食べ頃:果皮の色が全体に黄色くなったら食べ頃です。冷蔵庫に10日くらい保存できます。

召し上がり方
①冷蔵庫で冷やした後、横にスライスして☆型にカットします。そのまま生でお召し上がりください。
②生ジュースでどうぞ。
③食べやすい大きさにカットしてタッパ―などに入れ蜂蜜やグラニュー糖をかけて、冷蔵庫に2~30分くらい置いてから、取り出してお召し上がりください。


収穫されたババコウ

2個 DB入り

私のパパイヤ栽培 ③

2022年8月26日

えっ! 南伊豆で静大の公開講座が・・・青パパイヤの何がすごいのか?
南伊豆町始まって以来の出来事だろう。主催した静大農学部准教授の松本和浩先生はパパイヤを作っている所、南伊豆や松崎町で講座を開いていつもの学生ではなく、地域の人たちにもパパイヤの学習を通して地域おこしについても意識を高めてもらいたかったのではないか思う。
2020年9月25日、南伊豆町道の駅「湯の花」で静岡大学農学部の公開講座が開かれた。園芸イノベーション学研究室の松本和浩准教授と大学院修士2年の影山史弥さんが青パパイヤのことを講演してくださった。影山さんが伊豆は温暖で降水量も多く、パパイヤ栽培の適地であるのでパパイヤ栽培を薦めた。彼の研究テーマであったパパイヤ栽培法など大変わかりやすくお話してくれた。

静大公開講座で講演する影山史弥さん

2020年9月伊豆新聞

パパイヤ栽培者(河浦輝雄さん、吉田)も経験談・・・非常に魅力的な作物だ!!
講座の中で私と松崎町でパパイヤ栽培している河浦輝雄さんが4年間の栽培体験を話した。河浦さんはパパイヤ狩りも行い、マスコミに報道されたので多くの人がパパイヤ狩りに訪れている。その中で日本に住んでいるフィリピン人やアジアの人たちがまとめ買いしていくという話をされた。
「ここのパパイヤは美味しい。毎日食べている。もったいなくて旦那(日本人)にはたべさせない」
アジアの人たちは青パパイヤを常食しており、その栄養価も体が知っているらしい。河浦さんの栽培は4月に小さな苗が入った後、5月に植付けて7月に開花し始め、9月下旬には青パパイヤとして収穫が始まっている。そして霜が降りる11月下旬には高さが4mにもなって30~40個の青パパイヤを収穫する。松崎の河浦さんを訪れると「パパイヤのジャングル」を体感できる。パパイヤの勢いの強さは他の作物では見られず、別格の強樹勢であることが理解できる。

2020年9月伊豆新聞

松本准教授の話・・・さすが、先生の話は奥が深い・・パパイヤを通してできる事がいっぱいある
青パパイやに含まれる酵素や調理法などを紹介していただいた。生産者は単なる収穫されたものを販売するだけではなく、自分の作る作物をどのように大切に作っているか、またどんなこだわりを持って作っていかを消費者に伝えていく必要があると話された。都会においては〇〇のパパイヤ▲▲のパパイヤ☓☓のパパイヤと個性がありすぎてはスペースもないので個性は取り払われ、単なる「青パパイヤ」と表示される。田舎では逆に個性を主張して販売することが可能なので実施することが必要と。
青パパイヤの酵素はパパインというたんぱく質分解酵素がある。しかし完熟したパパイヤには入っていない。青パパイヤは(未熟)果皮を傷付けると乳液が出てきて、昆虫から実を守るために備わっている。害虫にとって、タンパク質分解酵素はタンパク質が溶けてしまうのでものすごい毒となる。農業的な考え方をすれば、無農薬でも栽培できるということになり、実際農薬は不要で栽培できる。青パパイヤは肉料理と一緒に取ることで消化を助ける、相性の良い食材である。ほかにも栄養的な面では豊富な食物繊維などが人の健康面で良い影響を与えているらしい。酵素のことを基礎的なことから話してくださったのでとてもよく理解ができた。アジアでは昔から食べられており、ゆっくりと体質改善することは実証されている。
パパイヤの葉も乾燥してお茶にすると茶色っぽくなり、ポリフェノールが入っており、抗酸化作用がある。青パパイヤは栽培するにも強健で食べても本当に健康的な作物である。青パパイヤを生産する人はこだわりを伝えていく必要がある。一人では限界があっても一つの活動に対して多様な意味を持たせて、いろいろな人とかかわりながら活動していくことを勧めてくれた。地方では満足な条件がなかなかそろわないが、創造力を使って今できる事をしていくことの必要性を話された。そのような活動を進めていく中で人は互いに影響し合って変わっていくことができ、それは素晴らしい事であると強調され、中身の濃い、奥の深い話に大変共感したわくわくした公開講座でした。

来年は松崎町で静大公開講座が予定されているようですから、それまでに青パパイヤを通じた活動が一段と進むようにしたいもの。

青パパイヤは民間薬として実績がある

静大と県内各地の農家や関係者と協力して

海も山のものも豊かな南伊豆、そして住む人の心豊かであったなら・・・人は集まる!来てくれる!!
そんなことを信じつつ、南伊豆の産物がいっぱい集まる直売所「湯の花」目指して頑張っていきたい。パパイヤがしっかり南伊豆に根付いて、みんなが喜び合えたらこんな素晴らしことはないと思う。

湯の花加工部がパパイヤ茶を製品化した

私のパパイヤ栽培 ②

2022年8月26日

収穫・・・花が7月に咲いてから7ケ月長~い
2月になると地面に接するほどの所に着果している大きなパパイヤ2,3個の色が緑色からやや薄くなり、やがてほんのり先端部分が色づいてきた。しかし収穫を期待するもここからが長い。やがて半月も過ぎようかという3月に入って半分ほど色づく。11月から3月までの間は果実の充実期間である。いよいよ収穫。収穫しても食べるには果実の緑の部分がオレンジ色になってしまうまで待たねばならない。全体に色が回ってきた時、初めての試食。実がしっかりとして色は濃いオレンジ色。エキスがきらきら光り見た目素晴らしく、香りも良く待ちに待ったおいしさである。糖度だけがもう少しあればという状態だった。これはパパイヤの温度が15℃以上ないと本来の甘さが出てこないためだ。5月になると自然と温度が高くなるので糖度もぐっと上がって食味は一層向上してきた

販売・・・なかなか売れない。でも・・
値段が高すぎるのかもしれない。売れないとこの思いが頭を悩ませる。しかし色々考えるとこれくらいで売れなくてはと迷う。要するに珍しいものだからどんな味かもわからず、すんなり購入する人はいないということだ。
「青パパイヤで売ってみたら」と声がかかる。味も素っ気もない青パパイヤではと思いつつ何とか売れたらと出荷してみた。青パパイヤで収穫すると白いエキスが噴き出してきて大変。収穫して手に白いエキスがついたまま目でもこすろうものなら目が痛くなって開けていられない。タンパク質分解酵素が豊富なので扱いも果皮を傷つけないように丁寧に袋に入れる。

で、青パパイヤは売れたのか? ・・・お客様レシピで売れ始める
最初は大変には売れないが少しずつ売れていった。同時に完熟パパイヤも後を追いかけるように売れ出した。青パパイヤは自分も食べたことはないが、でも買ってくださる人が少しだがいる。何とかしたい。要は食べ方がまずわからないと買ってくれない。買ってくださる人に食べ方レシピを書いてもらい、教えてもらおう。アンケート用紙と募集箱を置いた。書いてくれた人には青パパイヤをプレゼント。効果があった。

青パパイア料理法募集用紙と結果

色づき始めたパパイヤ青

青パパイヤサラダ「ソムタム」

ソムタム(青パパイヤのサラダ) ・・・しゃきしゃき歯ごたえのあるサラダ
一番知られているパパイヤ料理は青パパイアのサラダ「ソムタム」である。東京から来て南伊豆の宿泊施設で働いているKさんがタイ料理の店を任されていたというほど詳しい。そんな出会いから我が家でソムタムを実演調理してもらった。

ソムタムの作り方

青パパイアの皮をむく
ピーラーで細く削り、ソーメン状にする
すり鉢に入れ、すりこ木で軽くたたくようにして固い繊維を柔らかくする
ソムタムのエキス(市販品)を少しずつ加える・・
自分の味覚に合った辛さでストップ(ここがポイント)
ミニトマトやインゲンなど彩りを加えて出来上がり

簡単にできてとてもおいしい。湯の花喫茶の宮北さんはこのソムタムのエキスまで自分で作ってしまう。青パパイヤは味に癖がなく、いろいろなものに使えて、カレーやかき揚げなども人気があるので少しずつ広まっていくのではないかと思っている。

2年目のパパイヤ・・・下から出る脇芽を伸ばす
3月頃から収穫が始まったパパイヤも夏ころにはほとんど終了する。下のほうから小さな脇芽が出ているので太い主幹を脇芽の上で伐る。主幹を切るとすぐに脇芽は伸びだし、同時に花も咲いている。ぐんぐん伸びて秋には青パパイアで販売できるほどの大きさになる。露地では霜が降りると株が凍ってダメになってしまい、1年限りのものだが、ハウスでは成長、収穫が継続できるのである。大きな葉や次々となる実を維持するには地面全体がたっぷりと染み渡るほどの灌水をしないと思うようには育たない。充分な水肥料を与えることがポイントとなる。こうやって繰り返し4年目の栽培をしている株もある。

夜温5℃でチャレンジ・・・失敗だったなー
パパイヤは0℃になると凍って溶けてしまうが、ハウス内10℃で(適温は15℃)で生育している。生育を続けなくても良いから越冬できないものかと凍らない限界温度の5℃設定で栽培してみた。結果は実がいっぱいなったパパイヤは次々に枯れてしまった。1年間の労力は全く無駄になり、泣く泣く片づける羽目になった。
懲りずに翌年2回目のチャレンジをした。温度は5℃だが、換気扇(ボナルド)を回しっぱなしにしてハウス内の気流を停滞させないようにした。冬も終わりの3月まで持ちこたえた。しかし3月になるとパパイヤの葉色が薄くなり、やがて黄色くなり、株元から腐り始めた。2年続けて失敗してしまった。地温の確保がもっと大事だったのだ。失敗を繰り返しながら、パパイヤの技術は定着していくのだと気持ちを切り換えている。

将来に向けて・・・とにかく強いパワーあふれるパパイヤだ
栽培していてとにかく強い作物だ。ぐんぐん伸びて気持ちが良い。私はハウス栽培だが、松崎町の河浦花園の露地のパパイヤは4mにも育つ。このエネルギーを私たち人間もいただいて健康に生きていけるような気がする。暖かい南伊豆にはとても合う植物と思う。

4年目のパパイヤ人間の胴ほどの太さに育つ

私のパパイヤ栽培 ①

2022年8月26日

パパイヤ導入・・・これはいけそうだ!!
2015年、農業新聞で石垣珊瑚という品種が沖縄県で栽培され、産地化に向けて取り組んでいるという記事を見つけたのが私のパパイヤ栽培の始まりであった。
石垣珊瑚というパパイヤは単為結果性(雌木だけで着果する)で低位置から着果し、沖縄県の国際農林水産業研究センターで2008年に開発、品種登録されたものである。
実は種なしで甘いパパイヤとして主に沖縄県石垣島で栽培されており、果形は長楕円形で果肉はオレンジ色、糖度平均が13.8度で香りも高い。平均重が840g(以上国際農林水産業研究センター)
この記事を見て、「これは良い」と決断した。苗木を購入したくて、早速ネットで検索して沖縄県の種苗会社に問い合わせるも在庫なし状態が続いて、注文することができない。翌年3月になり、苗木販売を開始したということがHPに出たので早速注文した。4月になり、はるばる沖縄から苗木が届いた。

苗木育成・・・生長点培養された繊細な苗を大事に育てる
9㎝ポットに入った高さ10㎝足らずのひ弱な小さな苗を大事に取り出し15㎝ポットに植え替えた。ちょうど夏野菜苗を生産中だったのでその温床の片隅に入れて育てた。温度は20℃近くあり充分である。灌水過多は根っこが腐ってしまうので乾いたら灌水する程度に管理した。
生育は早く、あっという間に野菜たちを追い抜く背丈になった。5月、がっちりと25㎝ほどにたくましくなった苗をハウス内の予定の場所に定植した。


小さな苗を5寸ポットに。6月20日勢いよく伸びている(定植30日)

7月下旬に咲き始めた花が次々上に咲いていく(8月)

本圃・・・しっかり堆肥や良質の肥料を深く、深く入れて準備OK
苗木のパパイヤがぐんぐん大きくなるのを見て、植え付け場所の準備にかかった。堆肥、自家製のボカシ肥料、カニガラ、苦土石灰など土に撒き、耕運して床を作り、充分灌水した。1年目はこの状態で1,8m間隔に植えた。(2.5m×2.5mが標準)2年目の時は定植場所に直径50㎝深さ50㎝ほどの穴を掘り、その中に堆肥やカニガラボカシ肥料など入れ、掘り起こした土とよく混ぜて準備して、そこに丁寧に植えた。今では穴を掘って植え付ける方法をとっている。床が出来たら灌水を十分行い、10日間くらいなじませてから定植した。露地の場合はまだパパイヤにとっては寒いので6月くらいまではトンネルを掛けることになるがハウス内ではそのままで良い。

定植後・・・抜群の樹勢で伸びていく
定植後の生育はとても速い。毎日ぐんぐん伸びている。2か月後には背丈は1m位だが大きな葉が上に横にと縦横に張り出して伸びているので上に伸びた葉まで含めると1.5mを超え隣の株と交差するほどになる。7月下旬には地面から30~40㎝の低い所から開花をはじめる。着果する長さが長くなり農家にとってはうれしい。成長期には水と肥料をたっぷり与える。
以後3,4日ごとに1節ずつ葉のわきから次々開花して上がってくる。当然、最初に咲いた下の実はどんどん膨らんでくる。2か月後の9月には500g位になり、青パパイヤとして収穫できてしまう。その頃には背丈は2mを超え、葉は大きく広がり、3mにもなる。葉の長さだけでも1.5mはあり、大きくたくましく見ごたえがある。人の腕ほどの太さの茎に青々とした実が次々になっている。露地で作る場合はそのままに伸ばし続け、収穫も11 月頃まで行われる。

完熟まで・・・まだまだ長~い時間開花して7ケ月もかかる
10月いっぱいはハウスも昼夜開けっ放しでも良いが、外気温が下がってくるので11月にはいる頃までには保温、加温の準備をする。ハウス内は内側に2枚のビニールカーテンをセットする。かなりの手間であるが大切な仕事である。サイドは締切であるが天井部分は毎日開閉するようになっている。この時パパイヤは一番上の天井ビニルまで葉が届いており、4m以上になる。カーテンの開閉の高さまで切り下げなければならない。バサバサと大きな葉っぱを切り落としてしまう。秋には生長点を止めてあるのだが、何せ勢いのあるパパイヤなので止めた一番上から脇芽を新たに伸ばしているので、そこのところも切り落としが必要となる。上の葉っぱを落としてしまうと今までジャングル状態だったハウス内もずいぶん明るくなる。パパイヤはトマトのハウスに居候状態なので夜間温度は10℃を保たれている。大きな実をいっぱいつけた状態であまり変わらないまま、11 月12月、1月、2月と辛抱強く春を待つ。早く色づかないかなーと毎日眺める日が続く。(⇒2)

9月16日

10月27日

イラスト斉藤泉

私のババコウ栽培 ⑨ ババコウで汚れを落とす

2022年3月10日

長年農業に携わり、土や作物に直接触れながら作業しているとどうしても手は汚れます。たいがいは石鹸で洗い流すことできれいになります。いつも手袋をはめて作業していると汚れやマメなどもできにくく、美しい手の農業者もいます。

しかし手袋では作業しにくく素手でしかできないこともあります。素手でアクの強い作物を作業するとアクが手ひらや指の指紋に入って石鹸でこすったぐらいでは落ちません。アクが強いものとしてはトマトの誘引作業でのトマトのアク、ふきの皮むきでのフキのアク、製茶作業などで付着する茶渋、2,3日は汚れたままの手でいることになります。(そのうちいつの間にか落ちています)私などは暖房機の燃料がA重油なので故障した時などA重油に触れると油だらけになり、この場合も石鹸などで洗っても指紋には黒く残ってしまいます。落とす方法として甘夏ミカンの皮を絞って手に付けてこするとかなり落とすことができます。でも完全には落としきれません。

アルバイトが悲鳴! 汚れが落ちない

ババコウでこする前と後


私は野菜苗の接木作業にアルバイトをお願いしていますが先ごろ、キュウリの接木作業を頼んだ翌日に、主婦である女性から手が黒くなって落ちないと大変困った顔で言われました。キュウリの台木はカボチャで、カボチャの本葉を手で欠いて、キュウリをカボチャに挿しこんで接木します。手が黒くなった原因はカボチャの葉を何百本と欠いたせいです。細かな作業ですから手袋などはつけられず、素手の作業になります。そこで私は自信満々に、もったいないけれど、ババコウを少しカットして彼女の汚れが落ちない手に刷り込んでやりました。しばらくこすってやり、その後水洗いしてもらったら元のきれいな手に戻り、喜んでもらうことが出来ました。
ババコウの酵素の効果はすごいものがあると思います。写真は私の手でアクが黒くしみついた手であっても1~2分程度ババコウでこすってやると見事に汚れを落とすことができます。
ジュースにして飲んで心の中がきれいになったら誠に良いのですが(笑)・・・。でもババコウは酵素充分ですから健康には優れていると思います。

私のババコウ栽培 ⑧  折れたババコウ

2022年3月6日

普通の木は台風の時や根っこが害虫に食害されていると倒れることがあります。しかし、平常の状態ではめったに実をつけたまま倒れることはありません。写真のようにババコウは実をいっぱいつけた状態で倒れています。太い直幹の2mくらいの間に40果とびっしり大きな実がついています。収穫は下のほうから少しずつ上のほうに上がっていきます。実の着き方によって左右のバランスがある時、偏ることがあります。その時重さに耐えきれず、実の偏ったほうに折れてしまいます。珍しいことではなく結構あります。
なぜこのようなことが起きるのでしょう。自然の中で植物が育っていたならまずこのようなことはありえません。考えられることは過剰に大きく育ってしまい、質的に脆かったと言えます。ババコウは春の気候の中で本当にぐんぐん育ちます。ビニルハウス内は冬のうちから温度が確保され長い期間、春状態が続きます。ババコウは大きなハウス全部で栽培するほどの需要はないのでキュウリ栽培などの傍らで栽培されています。胡瓜の栽培に合わせて積極的に灌水管理や施肥管理など行われて大きく、大きく育っていったものと反省しています。ぐんぐん大きく育っていくことが楽しみでもありました。

原産地では一年中、気温は一定。しかし乾季と雨季
 ババコウの原産地のエクアドルでは最低温度は一年中9℃、最高気温が18~19℃と春の陽気が続いており、なんと過ごしやすい所でしょう。しかし、年間通して乾季と雨季を繰り返しており、乾燥した時期があることで丈夫に育っていることと想像できます。
一方、日本の気候は全国どこでも寒い冬と暑い夏が繰り返されています。大きな木を伐り倒して年輪を見ると夏は薄い茶色で幅広く伸び、しかし冬の時期は年輪が狭く、黒く固いことがわかります。台風が毎年来襲してくる日本では冬に成長した強さがあるからこそ耐えることができます。
 振り返ってババコウ栽培を考えると生育適温の幅が狭いので温度で強くたくましく育てることは出来そうもありません。灌水量を調節しながら丈夫に育てていくしかなさそうです。ミネラル分も大事と思われるので野菜栽培の何倍も施しながら栽培していますが、それだけでは無理の様です。

 私たち人間も作物と同じように厳しい環境がないと脆(もろ)くなるのではないかと思うこのごろです。快適ばかり追求してその先にあるものは折れたババコウでは・・・。

実の重みに耐えきれず倒れたババコウ

私のババコウ栽培⑦ 地球の裏側からやってきた

2022年2月21日

一年中同じ気温の国

日本の気候は年間で激変しすぎます・・・ババコウは夏が苦手
ババコウは春の気候と秋の気候は大好きです。グイグイ伸びます。冬は5℃くらいでは枯れませんが、生育はほとんど止まったような状態です。10℃くらい保温すると成長は継続しています。水をかけすぎると根は傷んで株ごと枯れてしまうので冬期間は水は控えめな管理となります。
でもババコウが本当に苦手なのは日本の夏です。特に7月下旬の梅雨明けした日は一日で葉焼けしてほとんどの葉が落ちてしまいます。ジャングルのように茂っていた大きな葉は無残にも地面に散ってしまっています。樹に着いた実は落果せずにいっぱいついてババコウが裸で立っているようです。こうなる前に梅雨明けが近いころを見計らって寒冷紗などで遮光して葉焼けを防ぐことをしなければなりません。あまり早いうち、梅雨のまっただ中に遮光して日光を遮るとナヨナヨした軟弱な葉になってしまいます。
おく農園では2015年からパパイヤも栽培しているので同じパパイヤの仲間でありながら、パパイヤは夏が大好きでビニールハウスの天井まで届き、ビニールを突き破らんがごとく、夏に大きく成長します。同じパパイヤ属なのに温度に対する性質が大きく異なります。
ババコウの原産地はエクアドルの赤道直下にありながら標高2000~3000mの高地です。以下、エクアドルの気候について調べてみました。

アンデスの気候は一年中、春の気候です・・・ババコウの生地は快適!
中央アンデス地方(SIERRA)  代表都市:キト市、クエンカ市
雨期(10~3月)と乾期(4~9月)に分かれます。赤道直下にありながら標高が高いため年間の平均気温は14~19度で、年間を通じて春のような快適な気候です。
 私のところでのババコウ栽培は夏に暑さでばててしまうのは当たり前で無理な栽培をしていることにほかなりません。30年以上、あの手この手と手を尽くして栽培してきましたが理想的な作りは難しいのが現実です。

1980年代、ネットなどなかった時代でこのようなことは調べようもなく、ただ試作した2本のババコウが成功したため、ババコウにかかわってしまいました。上記のようにエクアドルの気候が事前にわかっていたらやっていなかったのではと思うくらい日本の気候とは大きく異なります。ババコウの声が聞こえます。
「涼しく快適な故郷が懐かしい」・・・と。
エクアドル キトの気温

私のババコウ栽培⑥ ババコウの実の特徴

2022年2月19日

ババコウの実は糖度はやや低めながら、甘酸っぱい独特の芳香と酸味があります。多質汁でビタミンCが多いです。 また、たんぱく質分解酵素を含むので肉食後に食べると消化を助けます。
 朝食や休憩のひとときにババコウの生ジュースは贅沢な気分と さわやかな元気を体内に運んでくれます。
ババコウは暑さに弱く、また寒さにも弱い作物でビニールハウス内の栽培になりますが温度や土壌水分、堆肥で土を肥沃にして栽培し、気を使って管理しています。

食べ頃
緑色したババコウは熟してくると色が抜けやがて、黄色に変わってきます。 実が半分くらい黄色になると 木から落下します。この状態のものをラップやポリ袋で包んで室温で 7-10日おくと全体が黄色になり、 甘い香りがするようになれば食べ頃です。
 ババコウのおいしい召し上がり方
全体が黄色くなったババコウをよく冷やし、☆型にスライス。 塩を少々ふりかけて、なめらかな皮もいっしょに食べられます。 爽やかな酸味でのどがすっきりします。食後や酔った時には最高です。
 縦に2つ割にして、ブランデーやワインをふりかけ、冷蔵庫で十分冷やして食べるとまた格別です。輪切りにしてサラダやピザに入れてもおいしいです。
   
 ババコウの成分分析 (果実100g内)
エネルギー    (12kcal)
水分       (96g) 
タンパク質    (0.8g)
脂質       (微量)
カルシウム    (23.1mg) 
鉄        (0.21mg)
ナトリウム    (0.83mg)  
カリウム     (203mg)  
ビタミンA効力  (80IU)  
ビタミンB1    (0.02mg)  
ビタミンB2    (0.04mg)  
ビタミンC    (21mg) 

ババコウの着色ステージとカット状態

私のババコウ栽培⑤ 日本で唯一 ババコウジャム

2022年2月18日

1971年(昭和46年)農業に取り組み始めて長い間、農業専業で生きてきました。主にビニールハウスでの野菜(キュウリ、トマト)や野菜苗つくりをやってきました。35年ほど前、南米エクアドル原産のババコウというパパイヤ科の果物と出会い、栽培し始めました。主に東京の高級果物店に出荷しましたが、生産量と販売扱い量に大きな誤差が出て、たくさん残ってしまいました。途方にくれましたが、ジャムなど加工という方法もあると教わり、独学でジャムづくりを始めたのが、おく農園の手作りジャムの始まりです。

独学でジャムづくりを始めた
東京の高級果物店にババコウの販売状況などを伺いに行った帰り、デパートや地下街などでこれはと思われるジャムをいっぱい買い込みました。また、ブックセンターや紀伊國屋書店でジャム関連の本をこれも何冊も買いました。ともに重たい荷物でした。
帰宅して、糖度計でジャムの糖度を計り、原材料をチェックし、試食してみました。ジャムの作り方の載っている本は、その部分をむさぶるように読み、その中からジャムづくりの方法を決めました。
日中は農作業がいっぱいあるので、考えながら、本を見ながらのジャムづくりは手間がかかるのでもっぱら作業は夕食後になりました。何回も何回も失敗を繰り返して、どうやらというものができた時、以前からお付き合いのあった南伊豆国民休暇村に販売をお願いしました。ラベルなど手作りで今考えると本当に冷や汗ものでしたが、地元のものということで快く販売していただきました。本当にありがたいことでした。(感謝です)

ババコウジャムからいろいろなジャムにチャレンジ
もともと父母の代は自給的農業でしたからいろいろな農産物がありました。農園には夏ミカン、梅、ゆずがあり、私が作り始めたトマト、キウィフルーツ、ババコウ、グァバ、パパイヤなどあります。農業をやっているとどうしても売れないものがいっぱい出てきます。相場が安くて出荷できないものもあります。

道の駅下賀茂温泉湯の花のジャムコーナー

ババコウをジャムに加工したことで今まで無駄になっていた農産物がジャム変わっていきました。そして南伊豆で取れるニューサマーオレンジ、イチゴ、イチジク、ブルーベリーなども分けてもらい、ジャムも15種類くらいになりました。果物の持っている本来の味わいができるだけ残るように作っています。

私のババコウ栽培④ 原産地では?

2022年2月17日

アンデス(エクアドル)の2000~3000mの高地の原産でパパイヤ科の果物です。 学名はCarica Pentagonaと言い、異種間のパパイヤの自然交配種でエクアドルのある地域にのみ 何世紀にも渡って生育しています。霜の降りにくいニュージーランド北部では外でよく生育しています。

エクアドルから農業国、ニュージーランドにババコウが入ったのが1973年。 それから10年後の1983年、南伊豆おく農園に苗木が入ってきました。

 

最初のおく農園のババコウパンフレットでは上記のように紹介してあります。しかし、私は原産地のエクアドルにも苗木を輸入したニュージーランドにも行ったことがありません。したがって現地でのババコウの生育実態は今でも知りません。

 

ババコウ情報を求めてエクアドル大使館を訪ねました

1989年5月、東京都港区にあるエクアドル大使館を訪ねてババコウの実態を聞きに行きました。

・ババコウはどのようなところに生育しているのか?

・ババコウをどのように利用しているのか?

少しでも話が聞けたらと思ったのですが・・・・。

エクアドル大使館のジョージ パスミーニョ氏(写真)は驚くことにババコウを知らなかったのです。日本人通訳を含めて3人しかいない大使館だったのですが、全員同じでした。まさかの思いでした。外務省の役人はいわゆるエリートで地方の植物(ババコウ)のことなどは知る由もなかったと理解しました。通訳の日本人女性の方はエクアドルに行ってババコウの生育しているところを探しましょうとその際には同行することを申し出てくれました。しかし私には時間もお金も無いのであきらめました。ババコウ情報がありましたら知らせていただけるようにお願いして帰ってきました。

 

エクアドルのババコウ情報が入る 「ババコウは王様の果物だ!!」

2015年、アメリカNY在住の同級生富永正子さんは日本食のデイリ―を経営しています。彼女の店でエクアドル人のホアンさんがアルバイトをしていました。直接ではありませんが富永さんにババコウのことを聞いてもらったところ、ババコウは知っており、大変おいしい果物で「王様の果物」と言われていることを知りました。ホアンさんも日本でババコウが栽培されていることを知り大感激だったそうです。なんと1983年にババコウ栽培を始めてから32年経って初めて、原産地のババコウ情報を知ることが出来ました。

ババコウに対して栽培と販売に限界感があったのですが、ファイトがわいてきました。余談ですがホアンさんはアルバイトで貯めたお金と借入金で家を買ったそうです。異国で働いて家を建ててしまう度量とエネルギーをババコウを通じて知ることが出来ました。

エクアドル大使館 ジョージ パスミーニョ氏と(1989年)