私のババコウ栽培 ⑧  折れたババコウ

2022年3月6日

普通の木は台風の時や根っこが害虫に食害されていると倒れることがあります。しかし、平常の状態ではめったに実をつけたまま倒れることはありません。写真のようにババコウは実をいっぱいつけた状態で倒れています。太い直幹の2mくらいの間に40果とびっしり大きな実がついています。収穫は下のほうから少しずつ上のほうに上がっていきます。実の着き方によって左右のバランスがある時、偏ることがあります。その時重さに耐えきれず、実の偏ったほうに折れてしまいます。珍しいことではなく結構あります。
なぜこのようなことが起きるのでしょう。自然の中で植物が育っていたならまずこのようなことはありえません。考えられることは過剰に大きく育ってしまい、質的に脆かったと言えます。ババコウは春の気候の中で本当にぐんぐん育ちます。ビニルハウス内は冬のうちから温度が確保され長い期間、春状態が続きます。ババコウは大きなハウス全部で栽培するほどの需要はないのでキュウリ栽培などの傍らで栽培されています。胡瓜の栽培に合わせて積極的に灌水管理や施肥管理など行われて大きく、大きく育っていったものと反省しています。ぐんぐん大きく育っていくことが楽しみでもありました。

原産地では一年中、気温は一定。しかし乾季と雨季
 ババコウの原産地のエクアドルでは最低温度は一年中9℃、最高気温が18~19℃と春の陽気が続いており、なんと過ごしやすい所でしょう。しかし、年間通して乾季と雨季を繰り返しており、乾燥した時期があることで丈夫に育っていることと想像できます。
一方、日本の気候は全国どこでも寒い冬と暑い夏が繰り返されています。大きな木を伐り倒して年輪を見ると夏は薄い茶色で幅広く伸び、しかし冬の時期は年輪が狭く、黒く固いことがわかります。台風が毎年来襲してくる日本では冬に成長した強さがあるからこそ耐えることができます。
 振り返ってババコウ栽培を考えると生育適温の幅が狭いので温度で強くたくましく育てることは出来そうもありません。灌水量を調節しながら丈夫に育てていくしかなさそうです。ミネラル分も大事と思われるので野菜栽培の何倍も施しながら栽培していますが、それだけでは無理の様です。

 私たち人間も作物と同じように厳しい環境がないと脆(もろ)くなるのではないかと思うこのごろです。快適ばかり追求してその先にあるものは折れたババコウでは・・・。

実の重みに耐えきれず倒れたババコウ