おく農園日記 アーカイブ

私のババコウ栽培 ⑨ ババコウで汚れを落とす

2022年3月10日

長年農業に携わり、土や作物に直接触れながら作業しているとどうしても手は汚れます。たいがいは石鹸で洗い流すことできれいになります。いつも手袋をはめて作業していると汚れやマメなどもできにくく、美しい手の農業者もいます。

しかし手袋では作業しにくく素手でしかできないこともあります。素手でアクの強い作物を作業するとアクが手ひらや指の指紋に入って石鹸でこすったぐらいでは落ちません。アクが強いものとしてはトマトの誘引作業でのトマトのアク、ふきの皮むきでのフキのアク、製茶作業などで付着する茶渋、2,3日は汚れたままの手でいることになります。(そのうちいつの間にか落ちています)私などは暖房機の燃料がA重油なので故障した時などA重油に触れると油だらけになり、この場合も石鹸などで洗っても指紋には黒く残ってしまいます。落とす方法として甘夏ミカンの皮を絞って手に付けてこするとかなり落とすことができます。でも完全には落としきれません。

アルバイトが悲鳴! 汚れが落ちない

ババコウでこする前と後


私は野菜苗の接木作業にアルバイトをお願いしていますが先ごろ、キュウリの接木作業を頼んだ翌日に、主婦である女性から手が黒くなって落ちないと大変困った顔で言われました。キュウリの台木はカボチャで、カボチャの本葉を手で欠いて、キュウリをカボチャに挿しこんで接木します。手が黒くなった原因はカボチャの葉を何百本と欠いたせいです。細かな作業ですから手袋などはつけられず、素手の作業になります。そこで私は自信満々に、もったいないけれど、ババコウを少しカットして彼女の汚れが落ちない手に刷り込んでやりました。しばらくこすってやり、その後水洗いしてもらったら元のきれいな手に戻り、喜んでもらうことが出来ました。
ババコウの酵素の効果はすごいものがあると思います。写真は私の手でアクが黒くしみついた手であっても1~2分程度ババコウでこすってやると見事に汚れを落とすことができます。
ジュースにして飲んで心の中がきれいになったら誠に良いのですが(笑)・・・。でもババコウは酵素充分ですから健康には優れていると思います。

私のババコウ栽培 ⑧  折れたババコウ

2022年3月6日

普通の木は台風の時や根っこが害虫に食害されていると倒れることがあります。しかし、平常の状態ではめったに実をつけたまま倒れることはありません。写真のようにババコウは実をいっぱいつけた状態で倒れています。太い直幹の2mくらいの間に40果とびっしり大きな実がついています。収穫は下のほうから少しずつ上のほうに上がっていきます。実の着き方によって左右のバランスがある時、偏ることがあります。その時重さに耐えきれず、実の偏ったほうに折れてしまいます。珍しいことではなく結構あります。
なぜこのようなことが起きるのでしょう。自然の中で植物が育っていたならまずこのようなことはありえません。考えられることは過剰に大きく育ってしまい、質的に脆かったと言えます。ババコウは春の気候の中で本当にぐんぐん育ちます。ビニルハウス内は冬のうちから温度が確保され長い期間、春状態が続きます。ババコウは大きなハウス全部で栽培するほどの需要はないのでキュウリ栽培などの傍らで栽培されています。胡瓜の栽培に合わせて積極的に灌水管理や施肥管理など行われて大きく、大きく育っていったものと反省しています。ぐんぐん大きく育っていくことが楽しみでもありました。

原産地では一年中、気温は一定。しかし乾季と雨季
 ババコウの原産地のエクアドルでは最低温度は一年中9℃、最高気温が18~19℃と春の陽気が続いており、なんと過ごしやすい所でしょう。しかし、年間通して乾季と雨季を繰り返しており、乾燥した時期があることで丈夫に育っていることと想像できます。
一方、日本の気候は全国どこでも寒い冬と暑い夏が繰り返されています。大きな木を伐り倒して年輪を見ると夏は薄い茶色で幅広く伸び、しかし冬の時期は年輪が狭く、黒く固いことがわかります。台風が毎年来襲してくる日本では冬に成長した強さがあるからこそ耐えることができます。
 振り返ってババコウ栽培を考えると生育適温の幅が狭いので温度で強くたくましく育てることは出来そうもありません。灌水量を調節しながら丈夫に育てていくしかなさそうです。ミネラル分も大事と思われるので野菜栽培の何倍も施しながら栽培していますが、それだけでは無理の様です。

 私たち人間も作物と同じように厳しい環境がないと脆(もろ)くなるのではないかと思うこのごろです。快適ばかり追求してその先にあるものは折れたババコウでは・・・。

実の重みに耐えきれず倒れたババコウ